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言葉の引き出し


音楽を通して、毎日の時を通して、思い感じる事を綴っていきます。
by nausicaa-piano
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機織り

日付が変わったので昨日になりましたが、
七日は五節供の一つの七夕でしたね。

新暦での七夕祭りだと、大抵は梅雨明け前、
あいにく一日中雨で、天の川はおろか、
ベガもアルタイルも拝む事は出来ませんでした。

地元の商店街の和菓子屋さんの店先や、
駅前の小広場には今年も笹竹が飾られ、
事どもたちの願いが書かれた沢山の短冊が吊るされていました。


七夕祭りの起源は幾つかあるそうですが、
中国の星伝説、乞巧奠、
日本古来からの 祖先の霊を祭る 棚機つ女、
等の行事などが合わさって出来あがっていったそうです。


そして「機を織る女性」で連想するのは、夕鶴のおつうさん。


その「おつうさん」状態に、私達奏者は時折、
いや毎日なると言えば、どんな事を言わんとしているか
ご想像頂けるでしょうか?

表題でもある「機織り」は、器楽奏者の何人かの友人と
一年程ぐらい前からよく使う言葉で、
「今日は機織りを○時間した」とか、
「これから良い反物を得るべく、機織りをしてきます」と
書いたリ言い合ったりしています。

「私が機を織っている間は、決して覗かないで下さいましね」
とは少々大袈裟かもしれませんが、
奏者が一人で練習している姿は、
人様にお見せするような物ではないですから、
当然機織りをしている間は練習室やレッスン室に引きこもり状態。


七夕の起源の諸説のうちの一つに出てくる織女は、
機を動かす仕事をしていたそうですが
折角天帝が整えてくれた縁談で嫁ぐも、
今度はその労を怠けるようになってしまい 罰として里に帰され、
一年に一度のみ夫に会う機会を与えられた…とか。


一方奏者の私達は、練習と言う名の機織りを休んだとしても、
誰かに直接罰せられて何かを禁じられると言う事はありませんが、
技量が衰えたり舞台に間に合わなくなってしまったりと言う、
自らに跳ね返って来る「罰」が結果として待っています。


織る為の材料は糸と音の違いこそあれ、
それを受け取って頂く方に美しく仕上げて届ける任があるのは同じ事。


七夕の日もいつもと同じく、それぞれの機織り部屋で、
音の反物を織りあげるべく、皆 音楽と向き合って時を過ごし、
ふとしたその合間に、二星の落とす涙雨の向こうに
本当だったら広がって見えるはずの星空に
少しばかり思いを馳せていた…かもしれませんね。


忙しい毎日の連続で 実際に短冊を吊るすと言うのは、
今年も間に合わずにしそこねてしまいましたが、
せめて心の中で書いて願う事にしました…。


暦の上では小暑、梅雨明けもカウントダウン、
暑さが本格化するのも間もなくですね。


皆さんの夏が、良いものでありますように…!

by nausicaa-piano | 2012-07-08 12:35
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